フロリダ・プロジェクト

 180606
 傑作の呼び声も高い映画「フロリダ・プロジェクト」を見に新宿のバルト9へ出かけた。
フロリダの眩しい空の下で駆け回る子どもたちの躍動に感動させられると思いきや、、しばらくして、憂鬱な気持ちが襲ってきた。

 アメリカで“プロジェクト”と言えば社会の最下層の市民が暮らすエリアのこと。住民は観光地近辺の安モーテルや廃業した宿を間借りして暮らしている。
フロリダのモーテル「マジック・キャッスル」の管理人ボビー(ウィレム・デフォー)は、6歳になるムーニーと20歳そこそこの母親ハリーの二人家族を優しく見つめている。でも、余計な介入はせず、ただおおらかに見守っているだけ。二人が本当に危機に直面しそうなときにだけ駆けつけて、崖から落ちないように誘導してくれる交通整理のおじさんのような存在だ。ウィレム・デフォーの背中で魅せる演技には、理不尽さを受け入れ、それでも前に進んでいかなければならない美学が顕れていてよかった。

 それに引き換え、ほとんど生活力をもち得ない母親ハリーを見ると本当に滅入ってくる。母娘、友達のように仲良しなのがかえって絶望に僕には映る。

 ビートたけしのお母さんが「貧乏から脱出するには教育しかない。」と言っていたのを思い出した。