レネットとミラベル四つの冒険

180709

 エリック・ロメールの「レネットとミラベル四つの冒険」が早稲田松竹でやるというので出かけてみた。

 古い映画なのでスタンダードサイズ(4:3)でフランス語モノラルという視聴環境なんだけど。ちょっと昔のフィルムのザラつき感も良くて、これがすごく落ちつくんだな。

 映画のはじまりで田舎道をこちらに向かって自転車でやって来るミラベル。朴訥なフランスの田舎道に黒いサロペットに真っ赤なカーディガン肩掛けした姿はたまらなくキュートで、ロメールの美的感覚が良く出ている。偶然道で出会った少女レネットに自転車をリペアしてもらったことがきっかけでレネットとミラベルは仲良くなります。
都会的でクールな考え方の少女と、方や田舎育ちで垢抜けないけど真っ直ぐな少女。正反対の二人がフランスの田舎やパリでともに過ごす物語。

 こんなこと言っちゃひどいけど、レネットの身のこなしのダサさいことダサいこと。それと対比して(30年前の映画なのに)まったく古びないミラベルの洗練さが際立ってしまいました。余計なお世話なんですけど。この映画が起伏のないストーリーにもかかわらずまったく一瞬たりとも退屈しないのは定めしミラベルの魅力に尽きるのでしょう。

 第一話「青い時間」 第二話「カフェのボーイ」 第三話「物乞い 窃盗常習犯 女詐欺師」 第四話「絵の売買」の四部構成になっていてそのどれもが面白いのだけど、
 僕は第三部でスーパーで万引きしている女性が警備員につけられて捕まりそうになるところを咄嗟にミラベルが助けるというくだりが案外気に入ってます。女が万引きした戦利品を結局家に持ち帰ったミラベルをレネットは「あなたがやったことは悪いことだ。」と言って咎めます。でも正義感を振りかざすだけのレネットに対して、ミラベルは釈然としません。原因を考えずに一方的に避難したりするのは良くないというふうにやり返します。どちらが正しくてどちらが間違っているかはさておき、単純に会話の和ませたりしないで、自己主張をして反発をするフランス人ってやっぱり日本人とはモノが違うわとショックを受けました。
 エリック・ロメール作品では本作は地味な方なのかもしれないけどフレッシュであどけない感じが気にっています。