ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

190927
 クエンティン・タランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を見にtohoシネマズ新宿へ出かけた。
映画は1969年のある時期を描いたものになるが、なるほど、この時代は日本でもパンタロンやミニスカートが大ブームだったという。
なんとなく時代が輝いていたように思ってしまうのは「昔はよかった」を連呼したい年寄りの習性かもしれない、
でもやはり、映画を見る限りハリウッド街は今よりも随分浮かれていて、自由っていいなあとしみじみ思ってしまう。
そんな時代の雰囲気を象徴するのが新進気鋭の女優シャロン・テート。いつもノリノリの音楽で登場するシャロン・テートは何しろ見ていて楽しくてしょうがない。自分の出演作を鑑賞するために映画館へ行くくだりが気に入っている。ヒッチハイカーを愛車のポルシェに気軽に乗せてあげて、もぎりのお姉さんにも「私この映画に出演しているのよ。」などと自分から言ってしまうところに、自分が有名女優であることにまだ慣れていない天真爛漫さがあっていい。これには好感しか持てない。こゆうおちゃめな演出がクライマックスの恐怖を否が応にも盛り上げる効果に一役買っている。はたや一方、ヒッピー女子のプッシー・キャットも脇役にしてはと言うべきか、とても印象深い。作品ではダークサイドとして描かれているヒッピーだが、その中でプッシー・キャットは内と外、善と悪、旧時代と新時代など2つの相対する世界の橋渡しをする巫女のような存在だと勝手に直感した。クリフ・ブース(=ブラッド・ピット)もこの娘の一挙手一投足に惹きつけられ、マンソン・ファミリーのアジト、スパン映画牧場へと吸い寄せられていった。ここでのヒッピー少女たちの気だるい眼差しと味のある長回しは西部劇風でなかなかかっこよくて、これから起こる暴力の前触れを予感させる。