万引き家族

180610

 話題の映画「万引き家族」の初日を見にtohoシネマズ新宿へ行った。

 この映画を見て、なぜか日本の古代人のことが頭に浮かんできた。家族というコミュニティで力を合わせ、狩猟採集をやっていた人たちだ。
 歴史の教科書で学んだとおりなら、縄文時代の終わり頃に日本列島に稲作が伝わると同時にやがて権力や法律もできてきたわけだから、もう古き良き時代の家族はますます端に追いやらて立ち行かなくなってきたのだろう。
 「万引き家族」もまた現代社会のシステムから排除されてしまった。日本列島原住民の成れの果てだといったら極論だろうか。
 僕は万引きなどの軽犯罪に目くじらを立てるよりも、なぜ彼らがそのような状況に追い込まれるのかという根本的な原因を考える方が賢明だろうと思う。しかし何よりも、彼らが子どもに対して滅法優しく、それに対して現代社会システムが子どもを置き去りにしているように描かれていることに考えさせれた。

 「万引き家族」の息子・祥太のなかに次第に罪悪感が芽生え始め、そこから共同体の歯車が狂い始めてしまう。
 映画の終盤で彼らはついに逮捕されてしまいます。
警察の尋問で“いかにも正しい人”がやってきて安藤サクラ演じる母親にあなたは間違っていますと詰め寄ります。
具体的には「自分で子ども産めないからって人の子ども盗んじゃダメでしょう。」みたいに言われます。
そして母は惨めさに引き裂かれ涙を流します。
でも、ここまでこの作品を見てきた人は、「ん?…。正しい人はどっちなんだろう。」って考えてしまうのではないでしょうか。

 楽しかった思い出は残酷にも遠い彼方へ去ってゆき、「万引き家族」は崩壊しました。
まだ幼いりんちゃんがこれからどんな生活を過ごすのかとても心配です。
今日もどこかで助けを求めている子どもたちが大勢いることを思うと胸が締め付けられる思いです。