インターステラー

171102
 CGを使わず、フィルム撮影にこだわったというSF映画「インターステラー」がおもしろいという評判なので、木場の109シネマズへ出かけた。
 異常気象や環境被害に伴い植物がほぼ絶滅し、厳しい食糧難に晒された近未来の地球。人類が滅亡へのカウントダウンを刻むというSFものにお決まりの始まり方だが、本作は地球を救うことはもう諦めて、ワームホールを通過して別の銀河系で地球人が住める惑星を探して移住を目指すというコンセプトがなかなか潔くて好きだ。
もっと読む…

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

171014
 芸術の道を志す者のなかにはほんの一握りの成功者とそれを裾野で支えているかのように日の目を見なかった者たちがいるのはこの世の常。だが、当人はみな必死にやっているので、本気で目指す以上、才能がなくて成功しないことはやはり惨めでつらい。
 1961年、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジが舞台。まだ音楽産業の黎明期、フォークシンガーとしての成功を夢見るもやることなすこと何をやってもうまくいかない男の一週間ほどの日常譚。成り行きで猫を預かるはめになったところからこの物語が動き出し、猫に振り回されるように物語が進んで行く。文無し、宿無しで服も買えない。仕方がないから友達の家を泊まり歩く生活を続けるルーウィン・デービス(オスカー・アイザック)。そんな暮らしを続けていると同業者の女友達ジーンから妊娠を告げられ、中絶費用を要求される。ジーン役のキャリー・マリガンの口から「asshole!」「shit! 」「fuck you!」などの罵声で罵られるも、言い返すことも出来ないルーウィンは気の毒だ。 もっと読む…

戦争のはらわた

171011
 子どもが物心ついたあたりで親から初めて教わるルールといったら「暴力はいけません」ということだろう。
十分わかっているつもりだ。しかし、では戦争はどう説明すればいいのだろう、何かを守るためなら相手を殺してもいいのだろうか。成長するに従って自問するようになっていった。
 有名な「2001年宇宙の旅」の冒頭でも猿人が自らの暴力で意思表示したことをきっかけに(ここでツァラトゥストラが流れる)、人類のテクノロジーが発展していったことを暗示させている。はたし暴力は人間にとって本質的なものなのだろうか?
 話がおわらなくなるので前置きはこの辺にしたい。
 サム・ペキンパーの「戦争のはらわた」(デジタルリマスター)を観に新宿シネマカリテへ出かけた。
もっと読む…

ベイビー・ドライバー

 
170832
音楽のスイッチをオンにすると天才的なドライビングテクニックを発揮する通称ベイビーは、その才能を犯罪組織のボスに買われ強盗の逃がし屋で稼いでいる。ノリの良い音楽に合わせてアクセルを踏みハンドルを切るカーチェイスシーンが評判の「ベイビードライバー」は素直にわかりやすい娯楽映画だ。コンピュータグラフィックスは使用せず、正真正銘のリアルカーアクションに挑戦している。難しいことは考えず、ぜひとも自分の目で、耳で、ハートで感じるべきだろう。 もっと読む…

パターソン

170818
 一般試写会の招待を頂いたので渋谷のユーロライブで「パターソン」を観てきた。

 ニュージャージー州パターソンのバスの運転手で詩を書くことを愛好しているパターソン(主人公は住んでいる街と同じ名前なの)の一週間にわたる日常を描いている。
 妻と愛犬と3人で、滝が見晴らせる公園くらいしか名所がない田舎町に住んでいる。その生活は絵に描いたように平凡でもある。
 でもよく見ると何か素敵に見えてくる。
もっと読む…

smoke-デジタルリマスター

170805
 デジタル・リマスタリングされた「smoke」を名画座のキネカ大森で観てきた。
この作品は90年代のニューヨーク・ブルックリンが舞台ということで、ブルックリンプロムナードを散歩するシーンでは、背後のマンハッタン島にちゃんとツインタワーが写っていて、泣けてくる。 もっと読む…

クレールの膝

170612
 有楽町の角川シネマでお待ちかねのエリック・ロメール監督の特集上映をやっていたので表題作を観てきた。
 物語の舞台はスイス国境に近いフランスのアヌシー湖畔。
 男は市街地の運河にボートを走らせ、川幅が徐々に広がりアルプス山系も望める湖畔の別荘へバカンスにやって来る。
もっと読む…

20センチュリーウーマン

170607
 すこし気恥ずかしい題名も観終わってみるとそのタイトルに込められた想いが染みてくる。
 アネット・ベニング演じるドロシアは大恐慌時代に生まれ、ハンフリー・ボガードとジャズを愛し、四十代で息子を出産。振り返ればその人生は波乱に富んだ20世紀とともにあった。
 三四半世紀におよぶ彼女の人生のなかでも今回カメラは1979年のひと夏に焦点を絞っている。
もっと読む…

天皇について考えてみた

170611
 第一条
 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 僕は子どもの頃、この条文を読んでまったく理解に苦しんだ。
もっと読む…

マンチェスター・バイ・ザ・シー

170605
 映画が好きになっていろいろ観ていると、アメリカ東部ニューイングランド地方が舞台の作品はセンスがいいものが多い気がしてくる。ウッディ・アレン監督の「インテリア」を初めて観たときに、(すごい偏見なんだけど)アメリカ人というのは陽気なだけじゃないんだ、多かれ少なかれ心に葛藤を抱えているんだなということに気付いたのでした。その映画は完璧に趣味の良いインテリアと東海岸ニューイングランド地方のソフィスティケートされた空気が映画そのものの心情を支配しているようで衝撃を受けて、同じアメリカでもカリフォルニアの明るい感じも好きだけど、ニューイングランドのまた違ったかっこよさにも開眼しました。


もっと読む…

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

170512 
1991年に台湾の映画監督エドワード・ヤンが発表した表題作が今春デジタルリマスタリングされたということで、新宿の映画館へ出かけた。
 舞台は60年代の台北郊外。 もっと読む…

わたしは、ダニエル・ブレイク

web0170
 映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」の中でフードバンクの様子が出てくる。
 フードバンクとは、前向きに生きる意欲があっても食べ物が手に入らない市民が、賞味期限寸前だったり少し傷が付いているだけで流通にまわせない食品を無償提供してもらえるシステムだそうだ。これは食品の無駄をなくす観点からも飢餓を脱するためにもとてもよいサイクルだと思う。しかし、フードバンクで食料を得ることは何も恥じることではないと分かってはいるけれど、こんなふうにだけはなりたくないと思っている自分もいる。そのような偏見と自分さえ良ければいいという傲慢な姿勢が経済格差を助長しているなら多きな罪だ。 もっと読む…

ラ・ラ・ランド

web0153
 ミュージカルが嫌いな人は沢山いるが、その理由はピストルで撃たれて急に踊りだしたり、喜びの表現を一斉に皆で歌ったりすることが馬鹿馬鹿しいといったものだろう。
もっと読む…

この世界の片隅に

web0150
 始まってすぐに昭和初期の広島・呉にタイムトリップしてしまう。
映画「この世界の片隅に」を観ると、空襲の凄まじさ、防空壕の中の様子、市井の人々の日常の食糧事情や暮らしが覗ける。しかしその描写にはおどろおどろしい恐怖感はなく、どちらかと言えば戦争前夜の瀬戸内の風景などは穏やかで美しい印象だ。 もっと読む…

厄年

web0148
 帰省の折、諏訪大社にて父が一言「おまえは今年厄年じゃないか」とこぼした。
 こうゆうことは知らなければ厄年じゃなかったのに、知ってしまった以上本年は僕にとって厄年になってしまった。
「あなたは今年災いがありますよ」と天から宣言されたようで何だか怖い。
 あまり考えすぎないようにしようと思う。
ところがそう思えば思うほど気になってくるのが人間というものだ。
もっと読む…

Happy Xmas (War Is Over)

web0152
 明けましておめでとうございます。

 今年の元日は東京の自宅でおせちを食べたり酒を飲んだりしてゆっくり過ごしました。
夜は専らラジオを聞いていたのですが、好きな音楽番組でジョン・レノンの有名な「Happy Xmas (War Is Over)」がかかりました。
あれ?正月早々に何でクリスマスの曲がかかるんだ。と疑問に感じたのですが、番組パーソナリティの人がこの曲はクリスマスソングの定番ですが、実は新年を祝うための曲でもあるので選びましたと言っていて、その意表をついた選曲の見事さにとっても感心したのでした。
もっと読む…

日々の光

 
web0149
何かにつけ、いまの時代は良くないとか、金が無いとか税金取りすぎだとか、ついつい文句が出てしまう今日このごろ。でもあの時代と比べたら今はずっといい時代なのだよと自分に言い聞かせている。すくなくとも自分の人生を国家の方針によって滅茶苦茶にされてしまうということは今のところはなさそうだ。 もっと読む…

Haruki Murakamiとノーベル賞

web0151
 毎年この時期が来るとイギリスの賭け屋によって、村上春樹さんが文学賞受賞の最有力であることが発表され、マスコミがその期待を煽り、村上ファンが中心となったカウントダウンイベントまでが報道されたりする。
 業界が村上春樹さんに期待したい気持ちも、ファン同士がともに喜びたい気持ちも分からないわけではないが、村上氏ご本人の意向を確認したわけでもないのに、ちょっと先走りすぎだという気がしないでもない。 もっと読む…

ハドソン川の奇跡

160928
 ちょっと前に人工知能が囲碁や将棋の世界チャンピオンを倒したり、外科手術の分野にもこれが応用されるなど話題となった。今あるほとんどの職業もやがて人工知能に奪われてしまうだろうとも言われている。もしや僕の憧れの職業「すし職人」も名人の技術を学習したロボットが握るようになるのかもしれないと考えると何だか切ない。いわば第三次産業革命ということで、とりわけこれからの青少年にはどんな職業を選べばいいのか見極めが重要になってくるだろう。 もっと読む…

お盆

160816
 東京都心がまるで昔にタイプスリップしたかのように静まり返り、ところどころで蝉が最後の力を振り絞って鳴いている。近所の食事処に入ると、老夫婦と久しく会ってない息子夫婦がビールを酌み交わし、かたわらでは日焼けした孫たちがはしゃいでいる。「お食事中は静かにしなきゃダメよ」などとおばあちゃんに窘められている風景も思いがけずお盆らしい。 もっと読む…