犬ヶ島

180529
 TOHOシネマズ六本木でウェス・アンダーソン監督のストップモーションアニメ作品「犬ヶ島」を初日に見に出かけた。

 映像・グラフィックが愛くるしくて夢中にさせる。
犬の表情や動きのなんと素晴らしいことだろう。一見しただけでよく研究されていることがわかる。

 物語の舞台は今から20年後の日本の架空の街。
 この監督の日本文化の解釈はネイティブ日本人のものと微妙にずれているんだけど、そのちょっとしたギャップがキュートで、例えば話の終盤で主人公のアタリ君が小林市長を説得するのに俳句を持ち出すところなんて、最初は?と思いながらも、ある意味日本的かもと思えて新鮮でした。そのときの俳句がこれです。

「なにゆえに 人類の友 春に散る花」

 アタリ君の声を担当したコーユー・ランキン君(カナダ在住のバイリンガル)の声はもちろんプロの声優と比較したら技術的なレベルはとてもかなわないのだけど、この素の声の感じがすごく良くて、後から聞いたところによると、なんと使われた声はすべてオーディションのときに発声した音源だとか。
 目を見張るような熟練されたストップモーションアニメがすごいのは言うまでもないことだが、表現が達者になりすぎないぎりぎりのところにウェス監督のセンスの素晴らしさを感じた。